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(4) 神父は判事と似て非なるもの:四季版ノートルダム

主人公が誰かというのは人によって意見が分かれるノートルダムですが、原作者ユゴーが一番描きたかったのはおそらくフロロだと思います。**ネタバレあり**

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↑ノートルダム大聖堂内。このステンドグラスは窓になってるんですね。

ノートルダムの物語の核を成すそのフロロの描き方は、作品によって結構異なります。
原作・フレンチ版では聖職者、アニメ版では判事。そして四季版では聖職者に戻りました。

原作でフロロが神父である理由は、「神父である自分が女を愛してしまった苦しみ」を描くためだと言えます。
一方アニメのフロローが判事になったのは、冒頭から赤ん坊のカジモドを井戸に投げて殺そうとしたりする冷酷なキャラクターが神父という役職にそぐわないという判断からでしょう。判事だって悪いことをしちゃだめですが、理性に訴えかけることが仕事の判事と精神に訴えかけるのが仕事の神父とでは、同じことをしても周囲からの視線は同じではないと思います。神父は特に清廉で高潔なイメージを保つことはとても大切ですよね。

さて四季版は、アニメ版の判事設定から原作同様神父に戻っています。冒頭やラストでフロローが人を殺したor殺そうとするシーンはなくなりました。しかし、神父の言動としては「おや?」と思うシーンもいくつか。それは、どういうものでしょうか。




四季版のフロローは真面目でカタブツ。そんな彼が思わずジプシーのエスメラルダを好きになってしまいますが、彼女はイケメンな警備隊長フィーバスと恋仲に。警備隊長として赴任したフィーバスですが、王の許可を得てエスメラルダを捉えよと命ずる冷酷なフロローのやり方に疑問を感じて離反し、逆に警備隊から追われる立場となります(ちなみに、この辺りの流れはアニメ版のもので、原作には離反等の話は全くありません)。

場面は、フィーバスと警備隊の衝突シーンに。エスメラルダもフィーバスに加勢し、警備隊の兵士と戦っている中、舞台の中央にいるフィーバス(近くにエスメラルダ)の背中を、脇から駆け寄ったフロローがナイフでぶすっと刺します。

あ、原作と同じ構図だ・・・♪ (←つい喜ぶ)

原作では、エスメラルダと逢瀬の約束をしたフェビュス(フィーバス)を夜の暗がりの中フロロがついていきます。そして彼女と二人きりでベッドインしようとする寸前のフェビュスの背中を、隠れていたフロロがエスメラルダのナイフを使ってぶすっと刺します。そしてフロロはさっさと逃げ去り、エスメラルダはフェビュスを刺したとして死刑判決を受けることになります。
四季版の流れは原作とは違うのですが、エスメラルダ & フィーバス vs 彼を刺すフロローという構図が同じなのですね。

・・・と喜んだのも束の間、はっと気づいて・・・
・・・・・・いや・・・ちょっと待ってフロロー!

聖職者が公衆の面前でそんなことしちゃダメーーーー!!!!


周囲は騒乱状態で、すぐ近くに兵士たちがいます。舞台の演出は、白色のライトが舞台全体を煌々と照らしていて、見えにくい雰囲気もなく、誰かがフロローの行動の一部始終を見ていても何の不思議もありません。その点は、原作とは全く違います。

いくらフロローがフィーバスを捕らえる命令を下したといっても、彼が直接やるというのは別問題じゃないでしょうか。神父(しかもノートルダムの大助祭)が直接人を刺そうとするなんて、それを人に見られでもしたら、彼の印象に対するダメージの大きさは計り知れません。

おまけに、四季版のフロローはフィーバスを刺した直後、そのナイフを投げ捨てて「エスメラルダが刺したぞ!」と周囲に向かって叫びます。つまり、それはバレてはいけない行動だからということの裏返しですよね。また、そこも全部誰かに見られた場合、罪をエスメラルダになすりつけてるわけですから、もう何も言い訳はできなくなってしまいます。

フィーバスとエスメラルダは原作のようにいちゃついていたわけでもなく、フロローがかっとなって刺してしまったというほどの状況ではありません。四季版では正直、フロローがフィーバスを刺す流れが不自然というか、その理由が弱いのですね。

・・・と思ってその後でアニメを見返していたら・・・フィーバスがフロローのやり方に納得できずに離反するというのは同じですが、フィーバスが怪我をするのは、他の兵士の矢にあたって、でした!!(フロローは指示はするが直接何も手を下していない)

・・・そりゃそうだよね・・・(^^;)。それが自然な流れというもの。
四季版は、原作要素を少々強引に突っ込んでるかな~。でもアニメ版にもない設定を、わざわざどうして?(四季版制作者は原作マニア?)

いろいろ考えてみると・・・これは後々の重要な「伏線」になるのですが、そこには四季版ならではの事情があったと推察します。他作品とは違う、四季版のその理由とは?(長くなるので詳細は後ほど)

せっかくなので、このシーン付近の個人的萌えポイントを紹介しておきますね。

萌えポイントその1:

四季版ではその後、刺されたフィーバスをエスメラルダが救出し、大聖堂のカジモドに預けます。そして、フロローがエスメラルダたちジプシーの根城「奇跡御殿」をガサ入れすると知った二人は、彼らを助けに行こうということになります。

でも、奇跡御殿の場所がわからない。その時、カジモドはエスメラルダからもらったペンダントが隠れ家を示す地図だと気づきます。それは、メタリックな細い棒が数本ずつ縦横に組み合わせられた、てのひら大のもので、中央付近に丸い点があります。それが、隠れ家の場所!

私、2列目中央付近の席だったので、この「地図」をかなりガン見してたのですが・・・。
いやいや、パリの街は迷路みたいでわかりにくかったはず!シテ島らしき中州もないし、カジモドよそんなんで場所わからないぞ~~!

・・・と思ってアニメを見たら、そのペンダントはメタリックではなく紐や木の棒でできていて、「道」の数ももう少し多く、シテ島らしきものもありました。「これなら地図として場所の特定できるかな」とマニアックに思っていた私(笑)。四季版は舞台で繰り返し使うから、耐久性のこと考えてこうなったかな?(たいていの人にはこの地図の細かい部分は見えないでしょうしね)

萌えポイントその2:

二人で隠れ家を探しに行くことになった時、カジモドはフィーバスに「パリの街は全部知ってる」とドヤ顔で言います。

・・・いやいやカジモド、君は大聖堂の塔の上から街を見てただけだよね、数階建ての建物でびっしりのパリの街はちゃんと見えてないよね。カジモドよそんなんでわからないぞ~!
・・・と、突っ込む私。

そしたらその直後のシーン、パリの暗がりの中で、カジモドとフィーバスは「迷ってしまった・・・!」

私は心の中で大爆笑、というか拍手喝采。うんうん、そうだよ、そりゃそうなるよねーー!!
この辺りのシーン、テンポもいいし、フィーバスとカジモドの関係性もいい感じで大好き♪(でも京都公演で少し演出が変わっていたような気が)


(3) エスメラルダとクロパンの火花な関係 [←前] ◆
[次→] (5) カジモドはなぜ「反逆」したのか




四季版「ノートルダムの鐘」感想 (2017)





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Mew

Author : Mew

2013年来日公演したミュージカル
ノートルダム・ド・パリ」、及びフレンミュージカルを応援中!ノートルダムでオリジナル・グランゴワールを務めたブリュノ・ペルティエも熱く応援中!


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