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(2) カジモドの結婚:四季版ノートルダム

私はノートルダムな人生をフレンチ・ミュージカル版からスタートしたので、それがベースになっています。

そんな私の四季版「ノートルダムの鐘」の感想、まずはラストの部分から始めたいと思います。もちろんストーリーも最後までネタばれしますので、これから初めてノートルダムを見る予定の方はこのままお帰りください。

前回紹介した通り、四季版はディズニー・アニメ版のストーリーをベースにしています。そのアニメ版のラストに関わる部分のあらすじ:
ノートルダム大聖堂の鐘つき男カジモドは、ジプシーの娘エスメラルダに恋をしますが、彼女は護衛隊隊長のフィーバスと相思相愛の仲になります。同じくエスメラルダを愛してしまう判事フロローは、自分の思いを受け入れないエスメラルダに死罪(火刑)を与えますが、カジモドに助けられて彼女は生還します。結局フロローは死亡、ラストはエスメラルダとフィーバスが結ばれ、カジモドは失恋するものの、皆が明るく明日に向かって生きていくところで物語は終わります。

原作とかなり異なるのがフィーバス(フェビュス)のキャラクターで、アニメ版&四季版は顔も性格もいい男♪
これは、エスメラルダの物語をハッピーエンドにするための変更でしょう。

原作及びそれに準じたフレンチ版: 浮気者のフェビュスにとって、エスメラルダはかりそめの相手。絞首刑と決まったエスメラルダを助けにいくこともせず、最後は婚約者と結婚します。そしてエスメラルダは失意の中、絞首台の露と消えます。カジモドはモンフォコン墓地で彼女の遺体を抱きしめて永遠の眠りにつきます。


さて四季版はというと、フィーバスがアニメ版同様すごくいい奴!登場シーンでは、原作寄りの浮気者か?と期待させてくれましたが(笑)、四季版も性格イケメンです。そりゃあエスメラルダも恋に堕ちるよね。そして、二人は相思相愛となります。

四季版のラスト:
エスメラルダは火刑場からカジモドによって助け出されますが、はかなく死亡。その後フロローは死亡。フィーバスが彼女の亡骸を抱えようとしますが、怪我をしていたためふらつき、カジモドが彼女を抱きかかえます。フィーバスはそのまま舞台脇へ姿を消し、カジモドが舞台中央に彼女の体を置きます。そしていつのまにかエスメラルダは立ち上がって舞台奥に消えていきます。

カジモドがこちらを向くと、カジモド・メークはなくなり、腰が曲がっていたのも背筋を伸ばした状態で立ち上がり、彼は穏やかにカジモドの最後を語ります。つまり、大聖堂の地下室で、カジモドとおぼしき骨がエスメラルダの亡骸を抱きしめているのが見つかった、と。


このカジモドが語るラストは、原作とほぼ同じもの。
四季版を見ていて、「原作のラスト入れてくれたんだ・・・(じーん・・・)」と一瞬感動に浸ったのですが・・・

・・・いや・・・ちょっと待って・・・あれ・・・? ・・・ちょっと待ってカジモド・・・!!

原作では、エスメラルダはフェビュスに捨てられた形です。つまり、彼女は一人ぼっちのまま死んでいきます。だからこそ、カジモドがそばに寄り添って眠るというラストは、彼女にとっても救いであろうと読者は思えるのです。一人じゃないね、よかったね、エスメラルダ・・・と。原作やフレンチ版が単なる悲劇ではない、と私が思う理由はそこにあります。

しかし四季版では、アニメ版に準じてエスメラルダとフェビュスは相思相愛のまま終わります。彼女は一人ぼっちなわけではありません。なのに原作通り、カジモドがエスメラルダを抱いた形で永遠の眠りについています。・・・他に恋人がいる女性を抱きしめて・・・。

空気を読めえええぇぇカジモドォォォォ・・・・!!!!

カジモドよ、君がエスメラルダを好きなのはわかる。しかし、君が彼女と一緒に眠ってしまったら、エスメエラルダの気持ちは!!

エスメラルダとフィーバスは明らかに恋人同士です。彼女はカジモドを最後まで「お友達」と言い、フィーバスを恋人として死んでいきます。

確かにラストで、フィーバスは怪我のためにエスメラルダの亡骸を抱きかかえられず、代わりにカジモドが彼女を抱き上げます。でもそれはフィーバスが怪我をしてるからですよね?あくまで代理ですよね?フィーバスはそのままひっそり下手にはけていきますが、だからって「死んだばかりの恋人を他の男に譲る」っていう意味じゃないですよね?もしそうだとしたら、フィーバスにグーパンチですよ!!エスメラルダだったら「フィーバス、私が好きなのはあなたなのよ!カジ、あなたのことは大好きだし、大切なお友達だけど、それとこれとは別なの。わかって」って言いそう。

ちなみに、原作のラストの章のタイトルは「カジモドの結婚」です。もちろん結婚式を挙げたという意味ではなく、四季版のようにカジモドがエスメラルダの亡骸を抱きしめて死んでいったということを、ユゴーは「結婚」と表現したのです。

・・・そう、カジモドにとって、それは彼女との結婚です。でもその「結婚」相手には・・・(--;)。

こういうことを考えていて、ふと、なぜユゴー先生がフェビュスを浮気者にしたのか、ようやくわかった気がしました。
ラストの設定から逆算すると、この「カジモドの結婚」というラストを持ってくるためには、エスメラルダは好きな人にも捨てられ一人ぼっちで死んでいくという設定でなければならないのです。そのためにフェビュスはエスメラルダを裏切る必要があり、それゆえ彼は浮気な二股男という必然性があったわけですね。つまりこの浮気男の設定は、ユゴー先生の綿密な計算によるものとも言えます。

アニメ版も、エスメラルダとフィーバスが結ばれるハッピーエンドというラストにするために、逆算してフィーバスが顔も性格もイケメンになったわけで、こちらも設定がきちんと計算されています。


ちなみに、フレンチ版のラスト曲「Danse mon Esmeralda 踊って僕のエスメラルダ」は、原作では後日譚として語られる「カジモドの結婚」部分を現在形に置きかえ、今まさにモンフォコン墓地でエスメラルダを抱きながら眠ろうとするカジモドの気持ちを描いた名曲です。


↑「Danse mon Esmeralda 踊って僕のエスメラルダ」和訳はこちら


四季版ではカジモドとエスメラルダの遺体が発見されたのは「大聖堂の地下室」となっていましたが、原作でエスメラルダの遺体が置かれていたモンフォコン墓地は、当時の処刑場&罪人の遺体置き場でした。おどろおどろしいその場所で、カジモドはどんな悲痛な思いで彼女を抱きしめて眠ったのでしょうか。モンフォコン墓地について詳しく知りたい方は、モンフォコンのレポをどうぞ。

一方四季版で嬉しかったのは、カジモド役の役者がこの後日譚部分を穏やかな表情で静かに語ったこと。
もしカジモドの魂が自分自身を振り返ることがあったら、こんな風にどこか幸せを感じさせる表情で語ってくれるのかもしれない・・・。そんな風に思える素敵な演技でした。


(1) 関連作品の概要 [←前] ◆
[次→] (3) エスメラルダとクロパンの火花な関係




四季版「ノートルダムの鐘」感想 (2017)

(1) 関連作品の概要
(2) カジモドの結婚
(3) エスメラルダとクロパンの火花な関係
(4) 神父と判事は似て非なるもの
(5) カジモドはなぜ「反逆」したのか
(6) 弟が示すフロローの道
(7) カジモドの名前の本当の意味
(8) 陽ざしの中へ




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Mew

Author : Mew

2013年来日公演したミュージカル
ノートルダム・ド・パリ」、及びフレンミュージカルを応援中!ノートルダムでオリジナル・グランゴワールを務めたブリュノ・ペルティエも熱く応援中!


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