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2015.10/08 [Thu]
ノートルダムはケベック的か
雑誌「ふらんす」2015年10月号のケベック特集枠で
「ノートルダム・ド・パリ」の作詞家リュック・プラモンドンつながりで
「ノートルダム」や「スターマニア」がが取り上げられています(≧∇≦)
執筆は渡辺諒先生♪
「ケベック」という文字にソッコーで反応するほど
ケベックLOVEな私は、中身を知らずに「ふらんす」を買って
嬉しいやら、びっくりするやら (先生、ありがとうございます~♪)
ちょうどよい機会なので、ケベックとノートルダムに関して、
書こうと思いつつタイミングを失してしまっていたことを
シルク・ドゥ・ソレイユとの比較、ノートルダムの演出家の言葉
などと合わせて書きたいと思います。
ケベックの秋: ガティノーからモンテベロへ向かう道で
まず簡単にノートルダムのおさらい。
「ノートルダム・ド・パリ Notre-Dame de Paris」は
フランスの大文豪ヴィクトル・ユゴーの小説を原作とした
フランス語ミュージカル。1998年パリで初演、
作詞はケベック出身のリュック・プラモンドン、
作曲はイタリア人とフランス人の血を引くリシャール・コシアンテ。
2013年日本に初上陸(ただし英語版)。
その2013年日本公演時、作品そのものについて、
「ケベック」という切り口で語られることがありました。
私にとっては、それが意外で不思議だったのです。
私は2002年以降、ほぼ毎年のようにケベックに行っています。
ケベック大好きです♪ ケベックのことが語られるのも嬉しいです♪
でも、作品としてノートルダムとケベックは特に結びつかないのですよね(^^;)。
ノートルダムの全体像として見てみると、確かに
作詞・演出はケベコワ(ケベックの人)だし、歌手もケベコワは多めです。
でも、パリでスタートして大ヒットした作品であり、
ミュージカル不毛の地と言われたフランスでミュージカルを定着させた、
フランスにとって記念碑的作品であることは間違いありません。
一方のケベックは、上演回数で見ると、
フランスと比べるとかなり少なく、韓国での仏語公演よりも少なく、
他の言語の英・米・露・韓国(韓国語)等よりも少ないです。
ケベックって、海外ツアーの1つの地域に過ぎないんですよね・・・。
では、作品の内容的にはどうでしょうか。
ノートルダムがケベックと結びつけて語られる場合、主に出てくるのは
日本でも人気のサーカス団「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。
シルクはケベック発祥、そしてノートルダムにはアクロバットが出てきます。
ノートルダムの出演者にケベコワが多く、
そこから、ノートルダムのアクロバット⇒シルク⇒ケベック、
・・・とういつながりで連想されてるのだろうと思います。
しかし、そもそもサーカスやアクロバットって、
ロシアのボリショイ・サーカスなど、古くから世界中に存在しています。
ケベック特有のものではないですよね・・・。
ケベック発のミュージカルやお芝居を見ていても
夏・冬のフェスティバルのストリート・パフォーマンスでも
アクロバットは、あまり見たことがありません(ゼロではないけど)。
ケベックで、アクロバットが日常的に取り入れられる伝統が
あるというわけでもないと感じます。
では、シルク・ドゥ・ソレイユと
ノートルダムのアクロバットを比べるとどうでしょうか。
シルクの特徴は、アクロバットを芸術の粋に高めたことだと思いますが、
ノートルダムは元々が演劇という芸術なので、
アクロバットを取り入れればそれがどういうスタイルのものでも、
芸術+アクロバットという形になりますよね。
一方、シルクがあくまでアクロバットが主であるのに対し、
ノートルダムの中のアクロバットは演劇性が主。
物語に基づく演出プランが先にあって、それをより美しく見せるために、
必要に応じてアクロバットを取り入れたのだろうと思います。
例えば、アクロバットで特徴的なシーンの1つが、「Les Cloches 鐘」。
鐘つき男のカジモドが、鐘に対する愛や自分の気持ちを語る歌。
その演出として、大きな鐘をぶらさげるという手法を使っています。
鐘を使うなら、それを動かそうと考えるのは自然な発想。
そして、それを歌手やダンサーにやらせるより
本格的なアクロバットをやるほうが、さらに効果的。
・・・アクロバットを取り入れた理由は、そういうことじゃないでしょうか。
シルクの影響というよりは、「演出上の必然」だったというか。
そして、ノートルダムのアクロバット・チームは、
「鐘の精」として、結構しっかり「演技」をしています。
演技の範囲の中で、素晴らしいアクロバット技術を披露してるのですね。
ノートルダム=曲芸をする俳優、シルク=曲芸師、と言いましょうか。
石壁をつたうシーンは、
大聖堂の石壁を使うという演出プランがあってのものだし、
「道化の祭り」でマットの上で前転していくのは
次の「フェビュスという言葉」でのお布団シーン
(マット=布団)につなげていくためのもの。
・・・こうやって、アクロバットを含めて演出を一つ一つ見ていると、
大きな演出の流れがあって、そこに必要に応じて
歌手を、ダンサーを、アクロバットを配置しているのがわかります。
シルクは、アクロバット技術がメインで、それを美しくつなぐための演出。
ノートルダムとシルクは、その発想や作り方が逆だと思うんですよね。
「芸術的」「アクロバット」という符号だけで見ると
似ているように感じるかもしれませんが、
じっくり見比べると、似ていないというより、
互いが逆の位置に存在しているようでおもしろいです。
シルクの影響を受けている、と言うよりは
ボリショイなども含めて世界的に存在するアクロバットがヒントであり、
演出家のジル・マウがフランス人であっても、
あのアクロバット演出をやったのでは・・・そんな気がします。
ちなみに、ジル・マウは
「シルク・ドゥ・ソレイユの演出家」と紹介されてる場合がありました。
間違った表現ではないのですが、間違った印象を与えているようです。
つまり、シルクの経験を経てノートルダムの演出をやった、
と思われる方もいるのですが、実際は逆。
彼がシルクの演出を手がけたのは、ノートルダムから10年後。
ノートルダムの成功があったからこそ、シルクに招かれたわけです(^^)。
ケベックに関して、スタッフやキャストの出身を見てみると、
歌手としては、オリジナルキャストで言うと、7人中4人。
2015年韓国秋フランス語公演キャストで言うと、11人中6人。
多いのは多いですよね♪
でも、それと作品性そのものとはあまり関係ないと思います。
製作スタッフとしては、
作品の視覚的印象として大きなウェイトを占めるのダンスの振り付けは
マルティーノ・ミュラーさんで、ドイツ系スイス人。
同様に視覚的要素の大きい衣装と舞台美術担当は、フランス出身。
製作スタッフ(日本公演パンフでプロフィールのあった人)10名のうち
ケベック出身者は3名(作詞・演出・照明)。
製作スタッフ的には、ケベコワが多いってこともないんですよね。
日本公演時に感じたのは、ケベックって日本人にとっては
まだ馴染みの薄いものなんだろうなあ、ということでした。
そういう場合、知っていることの一つ一つが目立ってくるのかも。
だから、その部分をすくいあげて
話題にしていただいたような気がします(^^)。
以前、私自身ケベックについて無知でした。
ノートルダムでグランゴワール役のブリュノ・ペルティエが
フランス人だと数ヶ月間思っていたし(笑)、彼がケベコワだと知っても、
ケベックってどこ? (←カナダ東部)
カナダってことは英語圏の人? (←フランス語圏の州)
・・・という感じでした(^^;)。
なんにしても、私がえらそうにケベックについて語れるほど
ケベックの何たるかを知っているわけでもありません。
というわけで、周囲に聞いてみました。
ノートルダムはケベック的と思う?
ケベックに住むネイティブのケベコワ友達に聞いても
ケベック・フランス・ドイツ語圏のミュージカルをよく知る
欧州人の友達に聞いても、反応は
?????
でした・・・。ノートルダムをケベックと関連づける人がいて、
シルク・ドゥ・ソレイユやアクロバットからの考えみたいなんだけど、
と説明しても、「ああ、なるほどね」という反応はゼロ。
・・・そう。少なくとも私たちには、その関連性は
「あるの?」っていう感じなのですね・・・(^^;)。
では、演出家自身はどう考えているのでしょうか?
日本公演時、思い切って演出家のジルに直接聞いてみたことがあります。
「ノートルダムをケベック風と言う人がいるのですが・・・」
すると、茶目っ気たっぷりなジルは、おどけて
「だって僕はケベコワだも~ん。仕方ないよ~~~」
(↑ほんとにこんな感じ)
知ってる人はおわかりだと思いますが、
彼はお茶目な人で、プログラムにサインをお願いしても
スペースあるのにわざわざ自分の顔写真の上にサインしちゃうような方。
・・・いや、でもジル先生、それでは回答になってません(笑)。
と思って、さらに突っ込んで聞いてみました。
「では、どういう点で?」
するとジル先生、すっと真顔になって、こう答えました。
「ケベック風というより、異国風だね」
ノートルダム=異国風
・・・・!!!!!!!
作品の内容は、まさにそうですよね。
ジプシーのエスメラルダの存在・名前がまさしく異国風。
その兄貴分であるクロパンは「俺たちは異邦人(=異国の者)」と歌います。
異邦人として、既存の社会に受け入れてもらえない嘆き。
それは衣装にもよく出ていますよね。
貴族のお嬢様のフルール・ド・リスや騎士フェビュスの衣装、
もっと豪華にしてもいいのに、とも思いますが(笑)、
時代や場所を特定しない、どこか異国の要素があります。
特にフロロの衣装がそうで、
彼の衣装には、脇にヒラヒラがついていますが
本来の司教様の服にそんなものはないそうです。
スタッフには、アメリカ人やイギリス人もいますし、
ドイツ系スイス人、イタリア・フランスのハーフ、
ダンサーにはご存知日本人ダンサー亀谷さんもいましたよね♪
この作品、「ケベック」という枠でくくるよりは
多国籍で異国風と捉えるほうがぴったりなのは
ここからも納得できます。
ジルの言葉を聞いて、それまでもやもやしていたものが、
とてもすっきりしました。
さすが、演出家の言葉。
・・・まあとにかく、森と水の国ケベックはのどかで美しいところ。
ぜひ一度、のんびり旅してみてくださいませ♪
「ノートルダム・ド・パリ」の作詞家リュック・プラモンドンつながりで
「ノートルダム」や「スターマニア」がが取り上げられています(≧∇≦)
執筆は渡辺諒先生♪
「ケベック」という文字にソッコーで反応するほど
ケベックLOVEな私は、中身を知らずに「ふらんす」を買って
嬉しいやら、びっくりするやら (先生、ありがとうございます~♪)
ちょうどよい機会なので、ケベックとノートルダムに関して、
書こうと思いつつタイミングを失してしまっていたことを
シルク・ドゥ・ソレイユとの比較、ノートルダムの演出家の言葉
などと合わせて書きたいと思います。
ケベックの秋: ガティノーからモンテベロへ向かう道で
まず簡単にノートルダムのおさらい。
「ノートルダム・ド・パリ Notre-Dame de Paris」は
フランスの大文豪ヴィクトル・ユゴーの小説を原作とした
フランス語ミュージカル。1998年パリで初演、
作詞はケベック出身のリュック・プラモンドン、
作曲はイタリア人とフランス人の血を引くリシャール・コシアンテ。
2013年日本に初上陸(ただし英語版)。
その2013年日本公演時、作品そのものについて、
「ケベック」という切り口で語られることがありました。
私にとっては、それが意外で不思議だったのです。
私は2002年以降、ほぼ毎年のようにケベックに行っています。
ケベック大好きです♪ ケベックのことが語られるのも嬉しいです♪
でも、作品としてノートルダムとケベックは特に結びつかないのですよね(^^;)。
ノートルダムの全体像として見てみると、確かに
作詞・演出はケベコワ(ケベックの人)だし、歌手もケベコワは多めです。
でも、パリでスタートして大ヒットした作品であり、
ミュージカル不毛の地と言われたフランスでミュージカルを定着させた、
フランスにとって記念碑的作品であることは間違いありません。
一方のケベックは、上演回数で見ると、
フランスと比べるとかなり少なく、韓国での仏語公演よりも少なく、
他の言語の英・米・露・韓国(韓国語)等よりも少ないです。
ケベックって、海外ツアーの1つの地域に過ぎないんですよね・・・。
では、作品の内容的にはどうでしょうか。
ノートルダムがケベックと結びつけて語られる場合、主に出てくるのは
日本でも人気のサーカス団「シルク・ドゥ・ソレイユ」です。
シルクはケベック発祥、そしてノートルダムにはアクロバットが出てきます。
ノートルダムの出演者にケベコワが多く、
そこから、ノートルダムのアクロバット⇒シルク⇒ケベック、
・・・とういつながりで連想されてるのだろうと思います。
しかし、そもそもサーカスやアクロバットって、
ロシアのボリショイ・サーカスなど、古くから世界中に存在しています。
ケベック特有のものではないですよね・・・。
ケベック発のミュージカルやお芝居を見ていても
夏・冬のフェスティバルのストリート・パフォーマンスでも
アクロバットは、あまり見たことがありません(ゼロではないけど)。
ケベックで、アクロバットが日常的に取り入れられる伝統が
あるというわけでもないと感じます。
では、シルク・ドゥ・ソレイユと
ノートルダムのアクロバットを比べるとどうでしょうか。
シルクの特徴は、アクロバットを芸術の粋に高めたことだと思いますが、
ノートルダムは元々が演劇という芸術なので、
アクロバットを取り入れればそれがどういうスタイルのものでも、
芸術+アクロバットという形になりますよね。
一方、シルクがあくまでアクロバットが主であるのに対し、
ノートルダムの中のアクロバットは演劇性が主。
物語に基づく演出プランが先にあって、それをより美しく見せるために、
必要に応じてアクロバットを取り入れたのだろうと思います。
例えば、アクロバットで特徴的なシーンの1つが、「Les Cloches 鐘」。
鐘つき男のカジモドが、鐘に対する愛や自分の気持ちを語る歌。
その演出として、大きな鐘をぶらさげるという手法を使っています。
鐘を使うなら、それを動かそうと考えるのは自然な発想。
そして、それを歌手やダンサーにやらせるより
本格的なアクロバットをやるほうが、さらに効果的。
・・・アクロバットを取り入れた理由は、そういうことじゃないでしょうか。
シルクの影響というよりは、「演出上の必然」だったというか。
そして、ノートルダムのアクロバット・チームは、
「鐘の精」として、結構しっかり「演技」をしています。
演技の範囲の中で、素晴らしいアクロバット技術を披露してるのですね。
ノートルダム=曲芸をする俳優、シルク=曲芸師、と言いましょうか。
石壁をつたうシーンは、
大聖堂の石壁を使うという演出プランがあってのものだし、
「道化の祭り」でマットの上で前転していくのは
次の「フェビュスという言葉」でのお布団シーン
(マット=布団)につなげていくためのもの。
・・・こうやって、アクロバットを含めて演出を一つ一つ見ていると、
大きな演出の流れがあって、そこに必要に応じて
歌手を、ダンサーを、アクロバットを配置しているのがわかります。
シルクは、アクロバット技術がメインで、それを美しくつなぐための演出。
ノートルダムとシルクは、その発想や作り方が逆だと思うんですよね。
「芸術的」「アクロバット」という符号だけで見ると
似ているように感じるかもしれませんが、
じっくり見比べると、似ていないというより、
互いが逆の位置に存在しているようでおもしろいです。
シルクの影響を受けている、と言うよりは
ボリショイなども含めて世界的に存在するアクロバットがヒントであり、
演出家のジル・マウがフランス人であっても、
あのアクロバット演出をやったのでは・・・そんな気がします。
ちなみに、ジル・マウは
「シルク・ドゥ・ソレイユの演出家」と紹介されてる場合がありました。
間違った表現ではないのですが、間違った印象を与えているようです。
つまり、シルクの経験を経てノートルダムの演出をやった、
と思われる方もいるのですが、実際は逆。
彼がシルクの演出を手がけたのは、ノートルダムから10年後。
ノートルダムの成功があったからこそ、シルクに招かれたわけです(^^)。
ケベックに関して、スタッフやキャストの出身を見てみると、
歌手としては、オリジナルキャストで言うと、7人中4人。
2015年韓国秋フランス語公演キャストで言うと、11人中6人。
多いのは多いですよね♪
でも、それと作品性そのものとはあまり関係ないと思います。
製作スタッフとしては、
作品の視覚的印象として大きなウェイトを占めるのダンスの振り付けは
マルティーノ・ミュラーさんで、ドイツ系スイス人。
同様に視覚的要素の大きい衣装と舞台美術担当は、フランス出身。
製作スタッフ(日本公演パンフでプロフィールのあった人)10名のうち
ケベック出身者は3名(作詞・演出・照明)。
製作スタッフ的には、ケベコワが多いってこともないんですよね。
日本公演時に感じたのは、ケベックって日本人にとっては
まだ馴染みの薄いものなんだろうなあ、ということでした。
そういう場合、知っていることの一つ一つが目立ってくるのかも。
だから、その部分をすくいあげて
話題にしていただいたような気がします(^^)。
以前、私自身ケベックについて無知でした。
ノートルダムでグランゴワール役のブリュノ・ペルティエが
フランス人だと数ヶ月間思っていたし(笑)、彼がケベコワだと知っても、
ケベックってどこ? (←カナダ東部)
カナダってことは英語圏の人? (←フランス語圏の州)
・・・という感じでした(^^;)。
なんにしても、私がえらそうにケベックについて語れるほど
ケベックの何たるかを知っているわけでもありません。
というわけで、周囲に聞いてみました。
ノートルダムはケベック的と思う?
ケベックに住むネイティブのケベコワ友達に聞いても
ケベック・フランス・ドイツ語圏のミュージカルをよく知る
欧州人の友達に聞いても、反応は
?????
でした・・・。ノートルダムをケベックと関連づける人がいて、
シルク・ドゥ・ソレイユやアクロバットからの考えみたいなんだけど、
と説明しても、「ああ、なるほどね」という反応はゼロ。
・・・そう。少なくとも私たちには、その関連性は
「あるの?」っていう感じなのですね・・・(^^;)。
では、演出家自身はどう考えているのでしょうか?
日本公演時、思い切って演出家のジルに直接聞いてみたことがあります。
「ノートルダムをケベック風と言う人がいるのですが・・・」
すると、茶目っ気たっぷりなジルは、おどけて
「だって僕はケベコワだも~ん。仕方ないよ~~~」
(↑ほんとにこんな感じ)
知ってる人はおわかりだと思いますが、
彼はお茶目な人で、プログラムにサインをお願いしても
スペースあるのにわざわざ自分の顔写真の上にサインしちゃうような方。
・・・いや、でもジル先生、それでは回答になってません(笑)。
と思って、さらに突っ込んで聞いてみました。
「では、どういう点で?」
するとジル先生、すっと真顔になって、こう答えました。
「ケベック風というより、異国風だね」
ノートルダム=異国風
・・・・!!!!!!!
作品の内容は、まさにそうですよね。
ジプシーのエスメラルダの存在・名前がまさしく異国風。
その兄貴分であるクロパンは「俺たちは異邦人(=異国の者)」と歌います。
異邦人として、既存の社会に受け入れてもらえない嘆き。
それは衣装にもよく出ていますよね。
貴族のお嬢様のフルール・ド・リスや騎士フェビュスの衣装、
もっと豪華にしてもいいのに、とも思いますが(笑)、
時代や場所を特定しない、どこか異国の要素があります。
特にフロロの衣装がそうで、
彼の衣装には、脇にヒラヒラがついていますが
本来の司教様の服にそんなものはないそうです。
スタッフには、アメリカ人やイギリス人もいますし、
ドイツ系スイス人、イタリア・フランスのハーフ、
ダンサーにはご存知日本人ダンサー亀谷さんもいましたよね♪
この作品、「ケベック」という枠でくくるよりは
多国籍で異国風と捉えるほうがぴったりなのは
ここからも納得できます。
ジルの言葉を聞いて、それまでもやもやしていたものが、
とてもすっきりしました。
さすが、演出家の言葉。
・・・まあとにかく、森と水の国ケベックはのどかで美しいところ。
ぜひ一度、のんびり旅してみてくださいませ♪
- at 22:29
- ノートルダム・ド・パリ:[・作品について]
NoTitle
何の予備知識も無い人に対して、「ノートルダム」を宣伝するために、この作品を取り巻くイメージを表層的に「ケベック」というキーワードでまとめていたように思います。つまり宣伝手法として、たとえば「ノートルダムでのアクロバットが凄い」を意図的に「シルク・ドゥ・ソレイユのクリエーター(マカオで上演されていた「ZAIA」の演出家)が手がけた作品です」と宣伝したんですよね。勿論、Mewさんの書かれているようにじっくり見ていくと、ちょっとあざとい読み替えというか、ある種「読み違え」でもあるのですが。
ですので、「ノートルダムをケベックと関連づける人がいて、シルク・ドゥ・ソレイユやアクロバットからの考えみたいなんだけど・・・・」というよりは、「シルク・ドゥ・ソレイユやアクロバットと関連づけるためにノートルダムをケベックと関連づけた人がいた」だったのではないかと。